
『地域連携薬局(地域支援体制加算の算定)』=『高単価処方箋』ができる
地域連携薬局と地域支援体制加算の要件はどのような違いがありますか?
地域連携薬局としての加算要件はありませんが、ほぼ同等の機能を持つ薬局が加算できるものとして地域支援体制加算の算定が挙げられます。一覧表にまとめてみました。
変更等が出る場合がありますので、必ず厚生局のホームページ等でご確認をお願い致します。
項目 | 地域連携薬局の要件 | 地域支援体制加算の要件(地域支援体制加算の全ての項目) |
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薬局構造設備 | 座って情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を受けることができる | 一般用医薬品を販売していること。 |
相談の内容が漏えいしないよう配慮設備 | 患者のプライバシーに配慮していること。 | |
高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造 | ||
会議参加 | 地域包括ケアシステムの構築に資する会議参加 | 認定薬剤師の地域多職種連携会議参加 |
情報提供 | 月平均30回以上の医療機関への情報提供 | 服薬情報等提供料の実績 |
外来の利用者、居宅等訪問、利用者の入退院に当たって情報提供や指導。 | 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 | |
服用薬剤調整支援料1及び2の算定実績 | ||
時間外 | 時間外対応を文章または、薬袋に記載 | 夜間・休日等の対応実績 |
地域における休日及び夜間の調剤応需体制を示す、且つ自薬局が参加している。 | 開局時間は、週45 時間以上開局 24時間調剤及び、在宅対応体制の整備 |
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医療安全対策 | 医薬品に係る副作用等の報告の対応 PMDA メディナビ等を活用 | PMDAメディナビに登録 |
地域のDI室業務 | 外来服薬支援料1の実績 | |
人の要件 | 常勤薬剤師の半数以上が1年以上常勤勤務 | 管理薬剤師の要件実績 |
常勤薬剤師の半数以上が健康サポート薬局研修A・B及びe-ラーニングの各受講の修了 | かかりつけ薬剤師指導料等の届出 かかりつけ薬剤師指導料等の実績 |
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実務に従事する全ての薬剤師に対し、一年以内ごとの、研修を計画策定 | ||
居宅等対応 | 月平均2回以上の実機 | 在宅薬剤管理の実績 単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理実績 |
麻薬 | 必要な麻薬調剤が可能であること。 | 麻薬小売店業の免許 |
麻薬の調剤実績 10回以上 | ||
その他 | 当該薬局の在庫として保管する医薬品の情報を近隣薬局に提供する等による周知 | 保険調剤に係る医薬品として1200 品目以上 |
無菌製剤処理をできる体制 (例外あり) | 処方箋の集中率が85%を超える場合にあっては、後発医薬品の直近3月間の実績として50%以上 |
地域連携薬局 | 地域支援加算体制1〜4 |
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金銭的な加算要件はなし | 金銭的加算要件あり(点数詳細は下記の表参照) |
一覧表にまとめて異なる部分をみてみると、金額がつくかどうか以外は、かなり類似した要件であることがわかります。
地域連携薬局、地域支援体制加算を取れる体制にするためには?
まず加算が取れる項目は、地域支援体制加算ですから、こちらの施設基準等を満たし、その後に地域連携薬局の申請を目指す形がお勧めです。

上述の通り、項目がかぶるため一つの基準を満たせば、比較的両方を取りやすい状況になると思われます。
地域支援体制加算の要件を満たすためには、難しい項目もありますが、『地域支援体制加算4』以外の『地域支援体制加算1〜3』で要求される要件は、店舗努力で解決できるものが多いです。
地域医療に貢献する体制を有することを示す実績 |
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❶地域医療に貢献する体制を有することを示す実績 |
❷在宅薬剤管理の実績 24回以上 |
❸かかりつけ薬剤師指導料等に係る届出を行っていること。 |
❹服薬情報等提供料の実績 12回以上 (相当業務でも実績に数えられる) |
❺薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を 取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席 |
地域医療に貢献する体制を有することを示す実績 |
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①夜間・休日等の対応実績 400回以上 |
②麻薬の調剤実績 10回以上 |
③重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40回以上 |
④かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40回以上 |
⑤外来服薬支援料1の実績 12回以上 |
⑥服用薬剤調整支援料の実績 1回以上 |
⑦単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績 24回以上 |
⑧服薬情報等提供料の実績 60回以上 (相当業務でも実績に数えられる) |
⑨薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得した保険薬剤師が 地域の多職種と連携する会議に5回以上出席 |
(①~⑧は処方箋受付1万回当たりの年間回数、⑨は薬局当たりの年間の回数) |
地域支援 体制加算 | 条件 | 点数 | 必要事項 |
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1 | 調剤基本料1 の算定薬局 | 39点 | (必須❶〜❸)+ (選択❹or❺) |
2 | 47点 | (体制加算1の要件)+(選択①〜⑨から3つ) | |
3 | 調剤基本料1 以外の算定薬局 | 17点 | (必須❶④⑧) +(選択①or②or③or⑤or⑥or⑦or⑨) |
4 | 39点 | 選択①〜⑨から8つ |
変更等が出る場合がありますので、必ず厚生局のホームページ等でご確認をお願い致します。
全薬局共通 | |
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1 | 保険調剤に係る医薬品として1200品目以上の医薬品の備蓄 |
2 | 当該薬局のみで(または近隣の薬局と連携して)24時間調剤および在宅業務に対応できる体制 |
3 | 初回処方箋受付時に患者またはその家族に連絡先等情報を説明・文書にて交付・薬局の外側に掲示 |
4 | 24時間調剤・在宅業務に対応できる体制の周知 |
5 | 患者ごとの薬歴の記録、薬学的管理、必要事項の記入、必要な指導 |
6 | 平日は1日8時間以上の開局、土日いずれかに一定時間以上の開局、週45時間以上の開局 (祝日、1月2〜3日、12月29〜31日が含まれる週以外の週の開局時間で要件を満たすか否か判断する) |
7 | 管理薬剤師は以下の要件をすべて満たす ・保険薬剤師として5年以上の薬局勤務経験 ・週32時間以上勤務 ・当該保険薬局に継続して1年以上在籍 |
8 | 在宅患者訪問薬剤管理指導の届出・体制整備・周知 |
9 | 調剤従事者等の資質向上(定期的な研修の実施、学会への定期的な参加・発表) |
10 | 医薬品安全情報への対応(PMDAメディナビに登録) |
11 | 医薬品情報の提供体制の確保 |
12 | 患者のプライバシーへの配慮(パーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど) |
13 | 一般用医薬品(OTC)の販売 |
14 | 地域住民の生活習慣の改善、疾病予防に資する取り組み |
15 | 健康相談または健康教室を行っている旨を薬局の内外に掲示・周知 |
16 | 医療材料および衛生材料の供給体制 |
17 | 在宅療養の支援に係る診療所・病院・訪問看護ステーションとの円滑な連携 |
18 | ケアマネージャー・社会福祉士等の他の保健医療サービス・福祉サービスとの連携 |
19 | 薬局機能情報提供制度において「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」として直近1年以内に報告していること(申請の前年度1月〜12月末まで分を報告済みであること) |
20 | 副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施する体制を構築 |
21 | 処方箋集中率が85%超の場合は、後発医薬品の使用数量の割合が50%以上であること |
22 | 前年3月1日から当年2月末日までの実績をもって施設基準の適合性を判断し、当年4月1日から翌年3月末日まで所定点数を算定できる |
地域連携薬局、地域支援体制加算を取得するためには?特にボトルネックな要件は?
今までの経緯から考えると国の方向性は、認定を受けるためにかかりつけ薬局、多職種連携(在宅医療含む)、オンライン推進を評価する傾向にあります。
厚生労働省の発信内容 | |
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地域連携薬局 | 外来受診時だけではなく、在宅医療への対応や入退院時を含め、他の医療提供施設との服薬情報の一元的・継続的な情報連携に対応できる薬局であることが求められるものである。(2021年1月29日通知文書) |
地域支援体制加算 | 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価とする観点から、地域支援体制加算の実績要件や評価を見直す(2022年診療報酬改定より) |
国の要望を満たすための設備要件では補助金が敷かれたりし、そこまで経営的に難しいものではないことが多いです。
ボトルネックになりやすいのは、対物ではなく対人業務(薬剤師に変化を促す箇所)です。
ボトルネックになりやすい項目 | |
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地域連携薬局 | 月平均30回以上の医療機関等への情報提供 |
居宅対応を月平均2回以上の実績 | |
地域支援体制加算 (全て満たす必要がある訳ではありません) | 単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績 24回以上 |
麻薬の調剤実績 10回以上 | |
かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40回以上 | |
服薬情報等提供料の実績 60回以上 (相当業務でも実績算定可) |
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夜間・休日等の対応実績 400回以上 |
「夜間・休日等の対応実績」以外のボトルネック解消には、「在宅医療への参加」と「かかりつけ業務の強化」が根底にあります。
理由詳細は割愛しますが、薬剤師に上記業務をどのように遂行させるかがポイントになります。
遂行する上でスムーズに進めば良いですが対人業務が進めにくい本質は、薬剤師不足である採用事情から従業員への的確な指示命令系統の浸透ができていないところにあると思います。
ポイントは
- 薬剤師の納得
- 会社の方向性を明確に示す
この二つが真の鍵になると思われますので、戦略の再構築も必要かもしれません。
コンサルティングをお願いする場合は、どのようなイメージになりますか。
御社の状況によりますが、6ヶ月間以上の基本プランをイメージしていただいております。
まず加算は利益に直結するため、地域連携薬局よりも地域支援体制加算が取れる状況を優先することをお勧めしています。
この加算が継続して取れるようにするために、戦略や組織の評価制度の再構築なども一緒に行うことをお勧めしています。
地域支援体制加算4に関しては非常に難易度が高いため、店舗の状況により、事前にお断りするケースもございますがご了承ください。

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